第3回Holics Talk「インバウンド×しまなみ流サイクリングのススメ」

2018年1月10日


サイクリングの聖地として、年間36万人が訪れる「しまなみ海道」。年々外国人旅行客も増え、プロのサイクリングガイドや自転車をより楽しむための現地アクティビティへの需要が高まっています。そこで第3回のHolics Talkでは「旅とサイクリング」をキーワードに、旅人、サービス提供者、地域の「三方良し」なコンテンツづくりについて話し合いました。

◯日 時 2017年7月8日(土)13:30〜16:00
○場 所 サンライズ糸山
○ゲスト
NPOシクロツーリズムしまなみ事務局長 山本優子さん(今治市)
Shimanami1778 代表 菅未帆さん(今治市)

●ゲストトーク-01
しまなみサイクリングのルーツを知る
1人目のゲストは、2009年から今治(愛媛)を拠点に活動しているNPOシクロツーリズムしまなみの山本優子さんです。まずは、しまなみ海道がいかにしてサイクリングの聖地になったのか、草創期から携わっている山本さんに話を聞きました。そもそもの始まりは2007年頃、しまなみ海道の架橋開通を機に、今治市に合併された島々の活用と活性化が目的だったとか。しまなみ海道に自転車道があるのも、この橋が島の人たちの生活道だから。それをサイクリングの聖地にしたのは他でもない住民たちでした。山本さんは、地元の人たちと何度も話し合いを重ねながら、1年に1島ずつ、一緒にサイクリングコースをつくってきました。サイクリストのためのサービススポットとして定着している「サイクルオアシス」も、最初はお店が少ないエリアはサイクリストの休憩場所がなかろうと、地元の人たちが家の軒先を提供するかたちでスタートしたそうです。また、約80kmにわたって橋を渡りながら複数の島を走るという、世界でも稀なコースを持つしまなみ。ただ走り抜けるだけでなく、島の人や文化、暮らしに触れながら走るスローな自転車旅こそがしまなみ流なのでは?と、今後はポタリング=自転車さんぽの充実を図りたいと話してくれました。

●ゲストトーク02
海外ツーリストの実情を知る
2人目のゲストは、しまなみエリアを中心に、中華圏を中心に外国人旅行客の旅のコンシェルジュを務めるShimanami1778の菅未帆さん(愛媛)。外国人目線で、実際にどんなサポートが求められているのか。サイクリストならではの特殊なニーズなど、現場ならではのリアルな話を伺いました。例えば、サイクリストの場合、移動中に荷物は運べないので、出発地の宿から目的地の宿への荷物輸送をどう手配するか。自転車を本国から空輸した場合、空港から自転車が積める大型タクシーはあるか、自転車用のチャイルドシートが借りられるか、コインロッカーの大きさは、などなど私たちが思う以上に、求められる情報は詳細です。またこうした情報の多くは訪日前にインターネットで情報収集するケースが大半。物理的な条件だけでなく、現地でどんな旅ができるのか、しまなみの見どころは何か、見る人がイメージしやすい情報発信が集客力アップの鍵をにぎると強調します。

●ディスカッション
後半のディスカッションでは、自転車メーカー、レンタサイクルの管理者、サイクリングガイド、サイクリング同好会など、会場に来られなかった自転車関係者への事前ヒアリングの結果を紹介。また、参加者のほとんどがなんらかサイクリングに関っていることから、「瀬戸内を自転車でさらに盛り上げるために何が必要か」。それぞれの視点から、意見とアイデアを出し合いました。その中から生まれたのが、道路でつながっていない離島での「島ポタリング」をメニュー化できないかというアイデア。話すだけで終わらないのがHolics Talk。今後は、実際に現地アクティビティの造成&販売について実証実験してみたいと思っています。

●オプショナルツアー
翌日は、NPOシクロツーリズムしまなみのベテランガイド、宇都宮一成さんの案内でしまなみサイクリングを体験しました。サイクルオアシスでは、地元の人たちに、自家製の梅シロップ漬けやお菓子のお接待をいただき、身も心も癒されました。地元の人たちとの交流が楽しすぎて、予定の半分も進めませんでしたが、残りはまた今度。やっぱりスローな旅がしまなみには合いますね。